こんにちは、うさみしんごです。
営業数字の分析・管理をしていますか?
「営業は数字が全て」とさえ言われています。
そしてKPI、KGIなんて言葉も多く使われています。
しかし、「数字で考えることが大切だ」と言われ続けている一方で、どのように”営業の数字”を考えていけばいいのかが具体的に説明されていないこともよくあります。
世間が言うから、会社が言うからという程度に、言われたままの作業として数字報告をしている営業マンも多いというのが実情です。
今回は営業数字の管理・分析についてお伝えします。
“受注・売上・利益”の実績値を活用するための考え方についてお話します。
面倒かもしれませんが、騙されたと思ってやってみて下さい。
自分の営業活動や顧客の状況が鮮明にわかるようになってきます。
※今回の記事はBtoBの営業を想定して説明しています。
Contents
分析・管理をする意味
数字を管理・分析する意味は何でしょうか?
答えは
“状況把握”と”活動の検討”のためです。
そして、現状把握と活動検討は”受注獲得・維持・拡大”のために行います。
数字は曖昧なものを具体的で扱いやすい状態にしてくれるツールです。
継続的に発展・成長をするためには常に有効な選択をしなければなりません。
数字は「自分が目指す方向へ進んでいるか」を確認するための道標になります。
目指している目標に対して自分が置かれた状況を教えてくれます。
自分の状況がわかれば、これからやるべき対処を検討することも出来ます。
曖昧な現実を具体的にするためのツールが数字です。
数字を管理・分析することで”何をしたらいいのかわからない”という状態を”これをすればいい”という実行可能な状態にすることが出来ます。
キャリア形成にとっても意味があること
営業数字を扱えるようになることにはキャリアの面からも大きなメリットがあります。
“再現性”が出てくるからです。
数字は曖昧な状況を、実行可能に出来る程に具体化してくれるツールという話をしました。
キャリアの中では環境や立場が変わり、新たに策略を立てて成果を出さなければいけなくなる場面が多くあります。
例えば、転職で会社が変わる、異動で部署が変わる、担当変更で顧客が変わる などです。
環境が変わった時には、自分が置かれた環境を把握して具体的に行動できる状態に持っていかなければなりません。
そんな時に数字が扱えると、毎回同じ手順で具体化して、実際の行動に落とし込み、成果に繋げることができます。
今回は営業数字のことに絞ってお話をしますが、一度慣れてしまえば数字で考える技術は多くのことに転用できます。
営業数字を分けて考える
話を営業の数字管理・分析に戻します。
例えば、自分の受注金額を管理・分析していくとします。
受注金額というものは、どんな数字で出来上がっているものでしょうか?
答えは“受注金額=商談決着金額 + リピート受注”という数字の足し算で出来ています。
言い方をかえれば”新規獲得して決着・受注した商談”と”自分の力を使わずとも繰り返し受注するリピート”の合計額が全体の受注金額になります。
更に細かく分けようと思えば、いくらでも細分化出来ますが、最低限として商談とリピートくらいは分けて考えるところから始めましょう。
もう少しだけ細分化するとして
「最低限、商談とリピートには分けましょう」という話をしましたが、もう少しだけ分けるとしたら次のような分け方から始めることをおすすめします。
商談をもう一段階細分化
商談決着での受注金額を次の2つに分けます。
- アウトバウンド商談:自分から取りに行って発生させた商談
- インバウンド商談:顧客から依頼がきっかけで発生した商談
アウトバウンド商談の例としては、自分から営業電話を掛けて提案していくようなイメージです。
インバウンド商談としては、付き合いのある担当者から相談依頼があって始まる商談というイメージです。
アウトバウンド商談で決着した金額は、営業マンが能動的に活動して稼いだ金額です。
その営業マンの活動成果や生産性を測る指標として使うことが出来ます。
“営業マンの腕”がダイレクトに現れる数字なので、アウトバウンド系の商談決着金額が高い営業マンの活動内容を共有化することで組織の営業力を強化することにも繋がります。
一方で、インバウンド商談で決着した金額は、顧客と自社の関係性がなければ発生しない金額です。
顧客から問い合わせが来るのは顧客に認知されており、「問い合わせをしてみよう」と思われるだけの信頼を得られているからと考えることが出来ます。
認知されていない、または知られていても「ここだけは嫌だ」と信頼を失っていれば、発生しない金額です。
インバウンド商談は発生件数と合わせて、顧客満足度やマーケティング施策が機能しているかを判断するための指標として使うこともできます。
リピートをもう一段細分化
営業が改めて労力を割かなくても繰り返し受注となるリピート受注も大きくは2つにわけることが出来ます。
- リピート(案件):過去に決着して継続採用になっている案件。例えば量産機へのスペックインでの継続受注。
- リピート(その他):保守用とや一見客からく来る営業活動を介さない受注。
リピート(その他)は傾向や感覚で掴まざるを得ないですが、案件は定期的な顧客フォローでそれなりの精度で見込むことが出来ます。
リピートの金額を管理出来ると、自分の活動とは関係なく受注できる”ベースの金額”がわかるようになってきます。
営業マンの活動を除いても受注出来る見込み金額が大まかに掴めるようになります。
この”活動とは関係なく受注するであろうベースの金額”は行動計画を立てる時にとても役に立ちます。
目標との差異を見る時もベースの金額が掴めていると、商談決着でいくら上積みすれば良いか分かるようになるからです。
商談で積み上げなければならない金額の大小がわかれば、商材や顧客の選定に繋げることも出来ます。
目標達成が固い月であれば、新規開拓のような将来のための種まき活動の比率を上げたり。
目標達成が厳しい月であれば、クロージング中心に見えている案件の刈り取りに集中したり。
営業活動全体を見ながらの割り振りを考えるために役に立ちます。
また、リピートの金額に増減があった時は”最低限、顧客にコンタクトするタイミング”です。
例えばリピート受注が減になれば競合に自社製品を切り替えられていたり、顧客の事業状況が変化している可能性があります。
本来はリピート受注の増減として現れる前に顧客状況の把握をしておくべきですが、最低限、顧客状況の変化に対応するためのアラームとして活用することも出来ます。
指標は何を使うべき?
個人的には“受注粗利”が良いと考えます。
理由は2つあります。
- 活動に対して反応が早い
- 実際の実入りになる数字だから
売上を使うと数字として表れるまでのラグが大きく、活動・施策の成果を見るには不都合なこともあります。
商材によっては活動・決着から売上が上がるまでに時間が掛かるものがあるからです。
顧客動向の変化を見るためにも反応が遅く、不都合なことがあります。
受注の場合は、顧客からの発注書が入った段階で察知できるので、売上と比べると状況の変化や活動の効果が早く現れます。
また、個人的には営業数字は利益で管理すべきだと考えます。
受注・売上金額が大きくても利益がない売り方をすると会社に損失を与えることにも繋がります。
事業が成り立つだけの利益は最低限確保したうえで、可能な限り高く売るための仕組みを作っていきます。
ただし、「”受注粗利”で管理すべき」とは言ったのですが、実際は会社ごとに重要視する管理指標や数字の拾いやすさがかなり違います。
管理に手間が掛かり過ぎる場合は、状況に応じて指標を選べば良いと思います。
無理して続かないよりも、まずは継続できることの方が優先です。
売上金額を重要視する企業も多くあります。
中には社内システムの都合で、粗利を集計することが難しい会社もあります。
自分のいる環境で使い勝手の良いものを使っても良いと思います。
まずはやれるところから。
数字分析は使う数字によって見えるものが違ってきます。
しかし、多くの数字を管理しようとすると手間が掛かって頓挫しやすくなります。
まずは、自分の業務に関わりが大きく、管理・分析がしやすい数字から取り掛かりましょう。
一度、数字を使って考えられるようになると、活動の具体性や再現性が作りやすくります。
先々の見立てや行動出来るレベルで具体化された計画も立てやすくなるので、営業の活動にも大きくプラスの効果があります。
働く場所が変わっても成果を再現できるので、キャリアにとってもプラスにはたらきます。
”数字を使って考える技術”は有用だからこそ、確実に身に着けて欲しいスキルです。
確実に身に着けて欲しいからこそ、小さくとも着実に身に着けて欲しいものでもあります。
まずは出来るところからで構いません。
実際に着手して、管理・分析手法や考え方を身に着けて、転用して使いこなせるようになれば良いのです。
多くの企業や現場ではいきなり多くの指標を管理しようとして頓挫しています。
一度に大量のデータを使おうとして、埋もれて、挫折して投げ出すのはもったいない。
数字を使って具体的に活動管理や効果分析することはとても有益なことです。
指標を変えれば、あらゆる角度から自分の仕事や成果を分析出来ます。
営業にとっては”売上・受注・利益”の3つが大切かつイメージがしやすい数字です。
自分で管理し、分析し、フィードバックして環境が変わっても再現できる。
この能力は間違いなく、個人の武器になります。
まずはここから手をつけて、身に着けていきましょう。
では、また次回。