こんにちは、うさみしんごです。
転職や異動3社、5部署を7年間で渡り歩いています。
その中で根深く感じている問題がひとつあります。
「営業が営業外の業務に埋もれている環境が多い」というものです。
Contents
営業の仕事って何?
私は制御業界での法人営業の営業歴が長いので、法人営業を前提にしています。
営業の仕事には次のようなものがあります。
営業業務
「営業の仕事」と言われてイメージがしやすいよう仕事です。
例えば
- テレアポ
- 顧客との面談や商談
- プレゼンのための資料作り
など、顧客に営業をすることに関連する業務です。
顧客に接触する仕事以外にも、意外とやることは多かったりします。
【例】
- 自社製品についての勉強
- 営業数字の分析や進捗確認
- 顧客リストの作成・整備
- 営業手法自体の構築
- 自分担当内でのマーケティング
営業のための準備も含めて結構なボリウムがあります。
営業がきちんと機能している会社は、営業が営業業務を軸に活動しています。
問い合わせ対応など
顧客からの問い合わせ対応も営業の仕事になっていることが多い業務です。
問い合わせの内容にもいろいろとあります。
【例】
- 技術的な問い合わせ
- 価格の問い合わせ
- 見積依頼
- 納期確認
- 納期短縮の依頼
- 旧品の後継機種の問い合わせ
- 故障に関する問い合わせ
- 支払や伝票関連など 取引上の問い合わせ
あげ出したらキリがないほどに、営業マンが行う問い合わせ対応の業務は多かったりします。
企業の中には技術問い合わせ用の窓口を置いていたり、営業アシスタントがある程度対応する企業もありますが、一方でほとんど全てを営業を問い合わせ窓口にしている場合もあります。
社内向けの対応など
社内からの依頼に対する対応、というのも意外と多い内容です。
わかりやすいところで言えば、会議です。
開かれる頻度や、使われる時間は企業によってかなりの幅があります。
同じ営業会議をするにしても、月一回、最低限の会議をする。もはや、会議は極力やらない会社もあれば毎週、数時間を使って会議をする会社もあります。
中には「会議そのものが仕事」と言われてしまうくらいに会議が多い企業もあります。
その他の社内向けの仕事には次のようなものがあります。
- 各種報告書作成
- 人事・総務関連の書類作成
- 開発や技術部署からの依頼
- アンケートや端末処理
- 企業倫理関連の依頼
かなり多岐に渡るのでこれくらいにしておきますが、企業によっては意外と種類も量もあります。
大きい企業だと多い傾向にあるように感じます。
営業が営業していない問題。
営業の仕事の中身についてお話したところで、もう一度質問です。
「営業の仕事とは何でしょうか?」
基本的には顧客にアプローチして、自社製品の受注を増やすことが仕事です。
要するに先程説明したところの「営業業務」をこなしていくことが主たる役割になるはすまなのです。
しかし、実際は「営業外の仕事に追われて営業業務に集中出来ない」という状況をよく見かけます。
営業をしたい。
でも、営業以外の仕事もしなければならない、という状態に陥っているのです。
例えば、問い合わせ対応に時間が取られてしまって、営業をかける時間がない。
今が検討されているタイミングで営業のチャンスだと分かっているが、他の顧客で納期も決まっている製品の調整があり、すぐに着手出来ない。
会議の時間が多過ぎて営業準備する暇がない。
仕方がないので、出たとこ勝負の営業を繰り返す。
このように営業業務に集中出来ないことによって「質」「量」どちらも低い営業活動しか出来ていない営業マンというのは、かなり多いように思います。
更に言えば、営業マンが営業業務に集中出来ない環境が長年慢性化している企業もよくあります。
結果、企業として効果的な営業が出来ずに組織としての営業力が低下します。
会社としては肝入りの製品が十分に拡販できない。
本来は競争力のある製品なのに、市場に十分に伝わらない。
という問題が発生します。
何が悪いか?
「営業が営業以外の仕事に時間を取られて、営業業務の質と量が上がらない」という問題は何故起こるのでしょうか?
営業マンのスキルの問題と、企業の問題によって起こります。
しかし、多くの会社では「複数の営業マンが営業に集中出来ない状況に陥っている」ため、個人と言うよりは企業側の問題の方が大きいと私は考えます。
そもそもの組織運営として「営業が営業に集中出来る仕組みになっていない」ということが非常に多いのです。
営業が営業に徹底出来ない環境で、営業マン個人が努力して改善しようとしても、組織的には改善が進まないのです。
実際に見かける悪い例
実際に見かける「営業が営業に集中できない」組織は次のような状態です。
人材教育は現場に任せる。
製品知識や業界についての勉強を現場に丸投げすることは、営業が営業に集中できない環境を作る第一歩です。
何故なら、現場に丸投げされた新入社員は十分な教育がされないままに独り立ちして、その後も不十分な知識と経験で対応することになるからです。
よく見聞きするやり方は、全体の触りだけを研修して後は現場配属で身に着けさせる、というものです。
普段関わらない製品の問い合わせまで受けるため、ひとつひとつの回答に時間が掛かり、営業時間が確保出来ない、という状況です。
技術的な問い合わせを営業がするにしても、日常的に触れていて、経験と知識があれば回答に時間は掛かりません。
しかし、十分に知識や経験がない状態で対応すると初歩的なことから都度調べなければならないので時間が掛かります。
また、顧客に対しての回答も「素人が調べて出した」というレベルのものになるので、不十分なことも多くあります。
結果的に、時間を掛けて対応している割に顧客満足は向上しない、という悲しいことになります。
対応する業務の幅が広い
仕事の種類が多い、とも言えます。
営業に関わる業務を一貫して営業マンが行うことは回答の確度をあげたり、営業活動の精度を上げることにも役立ちます。
しかし、会社によっては営業のための見積作成どころか、納期管理や配達業務まで営業の仕事の会社もあります。
精通出来ない範囲の商品の問い合わせ窓口を兼務したりしていることもあります。
時間は有限なので、営業外の業務が多ければ多い程営業の時間が削られるのは当たり前の話です。
にもかかわらず、営業に営業以外の業務を会社側が課していて、営業に割ける時間が上がらないという状況もとても多くあります。
協力依頼できる相手がいない。
協力を依頼出来る相手がいない、というのも深刻な問題です。
例えば技術系の問い合わせを受けたとして。
技術系の部署に質問が出来るとしても、レスポンスが非常に遅かったり、初歩的な内容にはまともな回答がなされていないケースも意外とよくあります。
技術部署も余裕がなく「取説や仕様書に書いてあることは聞いてくるな」という態度の場合もあります。
営業側としては、普段接することが少なく、研修もまともにされていない商品については素人同然です。
そんな中で初歩的なことは全て自分で確認、とされるとかなりの時間を使うことになります。
更に酷い例だと自社製品でもまともに回答が出せない、出せる人がいないということもあり得ます。
他にも、営業マンが皆忙しく、手を借りられないため自分ひとりで処理するしかなく、営業業務の時間が取れない、ということもよくあります。
個人の問題にしない。
「営業が営業業務に集中出来ないことにより、営業の質・量が低下している」という問題は非常に多くの企業で見かける根深い問題です。
見てきた限りは対処の状況についてもいくつかに分かれます。
問題を感じていて、具体的な改善に乗り出す企業。
問題は感じいるが、現場の管理職に任せている企業。
問題は感じできるが、個人のやり方に任せている企業。
問題があるような気がするが、長年放置している企業。
組織としての危機感の感じ方もかなり違っています。
ただ、どのような対策を取ろうとも共通していることは「営業マンが営業できないことは企業にとっての損失」ということです。
「個人の改善不足」としても、営業組織がうまく機能しなければ企業にとっての痛手になることは変わりません。
自社の環境が整わないから、とっても競合や市場は配慮してくれません。
ただ競争力を落とすだけです。
営業が営業外の業務に時間を取られることで、拡販力が落ちるだけではなく、顧客満足も低下します。
影響が大きく、個人レベルではコントロールしきれない問題だからこそ、営業が営業に集中出来る環境作りは個人任せにせずに組織で取り組む内容です。