今回の記事は工場内の点検作業にかかる手間を大幅に削減することが出来る内容です。
配管や断熱材の劣化や破損を点検する業務で役に立つ内容です。
従来、放射温度計で点検している現場であれば、サーモグラフィを活用する事で大幅に業務を効率化する事が出来ます。
Contents
使うサーモグラフィ
今回の使い方では、とりあえずFLIR製のC3あたりで十分です。
使い勝手はC5の方が良さそうです。
私がサーモグラフィを売っていた頃はC3が出る前だったので、以前の機種のC2までしか使ったことはありません。
それでも、サーモグラフィの機能と輪郭合成(MSX)の機能があれば十分使えるものと思います。
サーモグラフィのメリット
サーモグラフィの最大のメリットは「目で見ても見えない温度の変化が一目でわかること」です。
現場用に放射温度計を使っている会社も度々ありますが、点で見る放射温度計では満遍なく確認するためには時間が掛かります。
熱源から外れた場所を見ているだけで、異常を見落としていることも、よく聞く話です。
目には見えないけれど、温度に現れるトラブルの兆候は意外とあります。
いくつか例をあげていきます。
焼却炉の断熱材劣化の点検
内壁の亀裂や断熱材の破損があると、炉の外側からサーモグラフィで見た時に破損部の温度が違っていることがわかります。
炉の外側から見た時、見た目では全くわかりません。
私が営業していたときは放射温度計で確認している顧客はいましたが、確認できるのは小さなスポットの範囲だけなので、点検に時間が掛かるうえに見落としが発生していました。
面で見て、温度状態を可視化出来るサーモグラフィだからこそ向いている使い方と思います。
配管や配管の断熱材の断裂、傷等の点検
先程の炉と同じような使い方が配管でも出来ます。
配管や断熱材が痛んでいると、痛んでいると箇所の温度が変わります。
これも目で見てもわからない兆候ですが、温度で可視化すると割とよくわかります。
流体が気体の配管でも破損部から気体が漏れると、その部分だけ温度が変わったりもするので早期発見に役立ちます。
設備の異常発熱点検
聞いてみるまで知りませんでしたが、設備内のトランスが燃えてボヤ騒ぎを起こしたことがある工場は意外と多くあります。
実際に「変電所からの火災で電車が止まった」というニュースを見た事はないでしょうか?
同じ様に現場設備でも「火災には至らなかったトラブルなら起こしたことがある」という会社は結構あります。
異常発熱している設備があっても、パッと見はまるでわかりません。
目に見える程の状態になっているのなら、かなり危険な状態です。
サーモグラフィだと温度で可視化出来るので、早期発見が出来ます。
画像で残して置けるので、過去の状態と比較しやすいことも早期発見に繋がるポイントです。
常時設置型の製品もあり
話は逸れますが、オムロンで盤内に常時設置しておくタイプの監視機器もあったります。
デジカメと抱き合わせも便利。
今回、紹介したFLIRのC3とC5はデジカメとサーモグラフィを一体にした製品なので、どちらの機能も使えます。
温度画像だと物の輪郭が非常にわかりづらく、何が発熱しているのかわからないので、大体は輪郭合成(MSX)の機能を使うと思います。
この輪郭合成の機能はデジカメの画像に温度画像を重ねて、何がどのくらいの温度かをわかりやすくする機能です。
サーモグラフィで設備点検をしていて異常があったときに、そのまま温度画像とデジカメ画像を残すこともできるので割と便利です。
スマホ外付けサーモグラフィについて
最近ではスマートフォンに外付けしてアプリを使ってサーモグラフィとしての機能を実現するような製品も見かけます。
例えば、こちらのFLIR ONE PRO は、その手の製品です。
5~6万円程度で手に入り、サーモグラフィよりも安価です。
ただし、スマートフォンとの組み合わせになるので、現場用途ではどうしても耐環境性に不安があります。
落下衝撃耐性でも不安があります。
問題なければ、使い勝手での好みかと思います。
個人的には現場用途であれば、現場向けにそれなりの耐性のあるものを使う事をオススメします。
見逃しなく、ご安全に。
というわけでサーモグラフィの使い方についてでした。
設備や配管だけではなく、配線の温度変化を見ることも出来るので使えるシーンは非常に多いかと思います。
やっている会社はやっているのですが、こういう使い方を知らないとやろうとも思わないのでお役に立てたら嬉しいです。
では、ご安全に!